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衛生材料Q&A

製品についてよくあるご質問をまとめました

Q1 医療機器のガーゼ・脱脂綿とは

第14改正日本薬局方第2追補により、ガーゼ、滅菌ガーゼ、脱脂綿、精製脱脂綿、滅菌脱脂綿、滅菌精製脱脂綿が日本薬局方から削除されました。
このため、それまで医薬品の扱いであったガーゼ・脱脂綿は、平成17年4月1日より医療機器に移行し、次の2つに分類されました。

【ガーゼ】

一般的名称:医療ガーゼ(CODE:13700000)
クラス分類:一般医療機器(クラスI)
定義:出血の抑制、液の吸収、擦過傷、乾燥又は汚染からの器官の保護のため、外科切開口、他の皮膚創傷又は内部構造に適用することを目的とする主としてガーゼから成る器具をいう。

【脱脂綿】

一般的名称:医療脱脂綿(CODE:70975000)
クラス分類:一般医療機器(クラスI)
定義:医薬品を塗布したり、患者の体表から少量の体液を吸収したりする等、医療目的に使用するパッド状の綿繊維から成る材料をいう。

Q2 医療ガーゼとは(来歴)

医療ガーゼとは、Gossypium hirsutum Linne 又はその他同属植物(Malvaceae)の種子の毛より得た純綿糸を平織した原布を脱脂し、漂白したものです。また、これに加えて性状、純度、形状及び灰分がそれぞれ試験され、基準*に記載された規格の範囲でなければなりません。純度試験では、ア)水溶性物質、イ)酸又はアルカリ、ウ)デキストリン又はデンプン、エ)色素、オ)蛍光増白剤、カ)沈降速度、キ)その他の繊維がそれぞれ試験されます。形状試験では、タイプⅠ~タイプⅣまで分類され、それぞれについて1cm間の条数、1cm×1cmの条数の許容誤差、標準幅及び標準重量が規格として定められています。灰分は、0.25%以下と定められています。
純綿糸は、英国式番手{重量453.59g(1ポンド)、長さ768.1m(840ヤード)の綿糸を1番手とする。}でいうところの40番手を使用します。

*「医療ガーゼ・医療脱脂綿の基準について」薬食機発第0630001号 平成17年6月30日
【来歴】

ガーゼという名称は地中海東岸にあるパレスチナのガザ Gasa という紗、薄織物などの産地名から発祥したといわれています。
日本薬局方にガーゼが初めて収載されたのは1906年7月の内務省令による第3局からで、明治初期のころはガーゼの代わりに綿撒糸(長さ15cmほどの漂白した綿糸の両端を束にして結んだもの)が使用されていました。1887年(明治20年)前後から今日のような薄地織物の形状に変わったことが、旧陸軍の衛生材料消耗品表に明治20年式ガーゼが収載されていることからうかがわれます。
本格的な製造は、1895年名古屋で渡辺某氏がガーゼ生地を製織したのに端を発するといわれています。

Q3 医療ガーゼの形状とは

医療ガーゼの形状は、次のように定められています。

タイプ 1cm間の条数(本) 1cm×1cm
の条数の
許容誤差
標準幅
(cm)
標準重量
(g)
縦糸 横糸
平均 許容誤差 平均 許容誤差
12 ±1 12 ±1 24+2
24-1
30+0.5
30-1.0
幅 30cm
長さ 100cm
10.3±8%
12 ±1 12 ±1 24+2
24-1
91.4±1.5 幅 91.4cm
長さ 30cm
8.7±8%
11 ±1 9 ±1 20+2
20-1
91.4±1.5 幅 91.4cm
長さ 30cm
7.6±8%
9 ±1 8 ±1 17+2
17-1
91.4±1.5 幅 91.4cm
長さ 30cm
6.1±8%

【長さ】

本品を平らな台の上に置き、不自然なしわや張力を除き、全長を置尺で中心線を測定するとき、表示の95%以上である。ただし、長さの方向の両端に密織部分のあるものは全長を測定し、密織部分のないものは網目組織だけを測定する。

【幅】

本品を平らな台の上に置き、不自然なしわや張力を除き、異なった3箇所以上について全幅を置尺で測定するとき、その平均値は表示が5cm以下のものは表示の80~120%、5cmを越え、30cm以下のものは表示の-1.0cm~+0.5cm、30cmを越えるものは表示の±1.5cmとする。ただし、幅の方向に密織部分があるものは全幅を測定し、密織部分のないものは網目組織だけを測定する。

【条数】

1cm×1cmの空間のある枠を作り、枠の端に糸を合わせ、枠内の条数を数え整数位を読み3回以上の平均値をとる。ただし、密織部分を除く。

【重量】

本品を約10cm平方にたたみ、あらかじめ亜硝酸ナトリウム飽和溶液の蒸気で飽和したデシケーターに入れ、常温で4時間放置した後、重量を量る。各タイプのもので標準幅、長さがなく、種々の幅、長さに加工されたものは約900平方cmになるよう試料を採取し、規格値の標準面積の重量から換算して算出する。この場合の許容誤差は、±12%である。ただし、長さ又は幅の方向の両端に密織部分があるものは全長又は全幅を測定し、また、長さ又は幅の方向に密織部分のないものは網目組織だけに調整して長さ又は幅を測定し、規格値の標準面積の重量から換算して算出する。

Q4 医療ガーゼの製造方法とは

紡糸を製織した生地は通常40~80m強の長さに折りたたんでありますが、これをのり抜き剤を溶かした温液に数時間から一夜浸漬した後、水洗し、精練がま中に詰め込み適当な濃度の水酸化ナトリウム液などで、煮沸、脱脂後、漂白、酸浴、水洗、乾燥などを行って製します。これは脱脂綿とほぼ同等です。外国では拡布状やロープ状に生地を長く接続し、普通の綿布と同様に連続的な精練漂白も行われています。

純綿単糸
整形・糊付
(糸の強化)
織機
(生地となる)
精練・漂白
加工

Q5 医療脱脂綿とは(来歴)

医療脱脂綿とはGossypium herbaceum Linne 又はその他同属植物(Malvaceae)の種子の毛を脱脂し、漂白したものです。
脱脂綿の繊維は、顕微鏡で見ると偏平で筋のあるねじれた中空のリボン状で、緑はわずかに厚くなっています。弾力性に富み、幅16~30um、長さ12~40mmで98~99.5%のα-celluloseからなっています。アンモニア銅試薬に溶け、普通の溶媒には溶けません。
純度試験では、ア)酸又はアルカリ、イ)水溶性物質、ウ)色素、エ)蛍光増白剤、オ)沈降速度、カ)吸水量、キ)その他の繊維、ク)ネップ及び混在物がそれぞれ試験されます。 灰分は、0.25%以下と定められています。

【来歴】
日本で脱脂綿がいつごろから用いられたかは明らかでありませんが、1886年内務省令第10号をもって日本薬局方に初めて収載され、また旧陸軍の衛生材料消耗品表に明治20年式として脱脂綿という名称があるのでこれより以前から使用していたものと考えられます。製造は1885年横浜の博覧会に出品された米国式脱脂綿を参考として陸軍軍医官横井某氏らが民間と協力し名古屋で製造したのが最初といわれています。また1887年ごろ大阪で勝田某氏が「あくぬき綿」と称して製造したことが伝えられているのでこのころから実用の段階に入ったものと思われます。

Q6 医療脱脂綿の製造方法とは

日本では原料として以前は天津綿(中国綿)が主として用いられていましたが、今日ではインド・パキスタンなどで栽培されるデシ綿(desi:在来種の意)が大部分を占めています。アメリカ産・エジプト産の綿に比べて、繊維が短く、太く、ネップが少なくなっています。アメリカ・ドイツなどでは上質の紡績落綿も使用しているといわれています。

製法には次の2つの工程順序があります。

さきさらし(前晒)方式

綿花
混打綿工程
精練・漂白
乾燥工程
すき綿工程
加工

あとさらし(後晒)方式

綿花
混打綿工程
すき綿工程
精練・漂白
乾燥工程
加工

※前晒方式は欧米で主に行われ、日本は後晒方式が主流となっています。

【混打綿工程】

解綿機 bale breaker、開綿機 opener、打綿機 scutcher などを使用し、数種の綿花を調合し、圧搾されている綿花をほぐし、混在物・塵挨などを除去する。

【すき綿工程】

すき綿機 card の表面に巻いてある針布の作用によって繊維をすきほぐし、一定の方向にそろえ、かつ、短繊維や混在物を除去する。

【精練漂白工程】

綿をかまに入れ、水酸化ナトリウム溶液中で煮沸脱脂し、次亜塩素酸塩や過酸化水素水で漂白する。次いで薄めた硫酸また塩酸浴を行い水洗いする。

【乾燥工程】

熱風乾燥法が採用されている。乾燥時の温度及び時間が不適当であると、製品が黄色になる傾向がある。

Q7 基準「水溶性物質」とは

水溶性物質は、漂白による硫酸カルシウム、漂白助剤の界面活性剤、過度の漂白で生じた酸化セルロースなどです。水溶性物資が多いと、色度を不良にし、経時変化の主要原因となります。ガーゼは8g中20mg以下、脱脂綿は5g中14mg以下と規定されています。

Q8 基準「 酸又はアルカリ」とは

精練漂白工程中に使用した酸・アルカリ類の洗浄不良による残存を検査します。また、これらの存在は、脱脂綿の経時変化を速めます。

Q9 基準「蛍光増白剤」とは

蛍光増白剤とは、一般の衣料品に視覚による白さを高めるために使用されていますが、ガーゼ・脱脂綿には使用が禁じられています。ただし、綿花の種子片や本質的に蛍光を発する混在物が残存し、そのため小斑点をなして発光する場合があります。これらは蛍光増白剤使用による染着とは認めません。
基準では、「全面に染着された蛍光を認めない。」となっています。

Q10 基準「色素」とは

前出の蛍光増白剤のように衣料品等には、見せかけの白さを与える目的で補色剤(主に青色色素)を使用して染色している場合があります。当然、ガーゼ・脱脂綿では使用が禁止されています。

Q11 基準「沈降速度」とは

ガーゼ・脱脂綿の脱脂を判別する試験です。試験方法は、次のようになっています。

本品5gをとり、径0.4mmの銅線を用いて作った径50mm、深さ80mm、線と線の距離20mmで、重さ3gの試験かごの中に入れ、水温24~26℃の水面上12mmの高さからかごを横にし、深さ200mmの水の中に静かに落とすとき、かごは8秒間以内に水面下に沈む。

日本製のガーゼ・脱脂綿はおよそ3秒以内に沈みます。脱脂が不良ですと沈降速度が遅くなりますし、ムラがあると試験かごは斜めに沈んでゆくので判別できます。また、沈降速度が速いガーゼ・脱脂綿は、初期吸収力が強いと思われます。

Q12 ガーゼの基準「デキストリン又はでんぷん」とは

製織に使用されたのりの残存を検査します。のり抜きが不良ですと、前出の水溶性物質の量を増加させますし、かびの原因ともなります。

Q13 脱脂綿の基準「ネップ」とは

ネップ(nep)とは紡績用語で繊維がもつれ合った小塊をいいます。 綿花や製造工程(すき綿工程)中に生じることが多く、脱脂綿を広げて光に透かすと、小粒状に見え、反射光では白い点状に見えます。

Q14 脱脂綿の基準「混在物」とは

混在物とは綿花の種子、葉、茎、がくなどの破片などの総称です。混在物については、製造工程中の混打綿工程やすき綿工程でほとんどのものは取り除くことが可能です。ごく小さなものは完全に取り除くことは不可能で皆無にはなりません。したがって、黄色や黒色の斑点状のものは綿の実殻ですので、使用上での心配はありません。
純度試験では、先のネップと併せて1g中に2.5mm以上の大きさのものが5個以下となっています。

Q15 脱脂綿の吸水量はどれぐらいか

基準では、脱脂綿5gに対して、水100g以上の吸水量が求められています。

Q16 医療脱脂綿・医療ガーゼの滅菌方法は何か

エチレンオキサイドガス滅菌、高圧蒸気滅菌又は電子線滅菌等が行われています。

社団法人 日本衛生材料工業連合会、全国衛生材料工業会、開発技術委員会 発行
衛生材料Q&A(ガーゼ製品:脱脂綿製品)第3版』平成17年12月1日改訂版より

製品事例集

事例1 ガーゼに織りむらがある。縦糸、横糸の片寄り

ガーゼは、織布工場で織られています。縦糸を張り、横糸をシャトルで入れて織り上げます。例えば、縦糸のたるみがあると糸の片寄りが生じます。また、シャトルのタイミングのずれでも発生します。これらの不良はある程度防げますが、皆無は不可能です。目視的には違和感がありますが、使用に際しても、安全性にも問題はありません。従い不良品扱いとは致しません。

事例2 ガーゼに織りむらがある。スダレ状、横糸抜け

横糸が切れたまま織機が作動した場合、又は継ぎ時発生が考えられます。本体は、全長数百m中の一部ですので、本体すべてを不良として廃棄できません。通常、最終加工中に発見し部分的に取り除かれますが、まれに製品に混入があります。安全性については問題ないのですが糸の片寄りとは異なり、横糸が数cm間ないという規格外のわけですので使用は避けてください。

事例3 ガーゼに色つきの糸が織り込まれていたり、混入している

紡績工場で40番手綿糸製造工程中、綿花と一緒に色つきポリプロピレンの繊維が混入する場合があります。基準では、その他の繊維は認めないと記載されています。万一使用しても安全性に問題ありませんが、規格外ですので使用は避けてください。

事例4 脱脂綿に色つきの糸が混入している。

綿花収穫の際に、綿花と一緒に収穫作業者の衣服やひもなど他の繊維等が混入する場合があります。基準では、その他の繊維は認めないと記載されていますので、万一使用しても安全性に問題ありませんが、規格外ですので使用は避けてください。

事例5 ガーゼに綿埃が織り込まれている。

織布作業中にたまった綿挨の混入です。脱脂漂白工程を通りますので安全性は問題ないのですが、機械油を含んだ綿挨が混入する場合もあります。これらの製品の使用は避けてください。

事例6 ガーゼ・脱脂綿に黒や茶色のしみがついている。

綿花の収穫や織布作業に使用している機械の潤滑油の付着が考えられます。 白色の製品に黒色や茶色の色が付着するので目立ちますが、幅広くの付着とごく小さな付着とあります。1~2mm以下程度(目視において見落とす程度)の付着なら安全性に問題ないのですが大きな汚れについて使用は避けてください。

事例7  オートクレーブ滅菌後の変色(黄変)

ガーゼ・脱脂綿の主要成分であるセルロースは、乾熱状態では、150℃ 1時間で分解するといわれています。オートクレーブ滅菌(135℃で10~20分)の処理においては、乾熱状態150℃よりも厳しい条件ですので黄変も考えられます。オートクレーブ滅菌後、強度に変化があると問題ですが、多少の黄変については問題なく使用できます。

事例8 脱脂綿における異物の混入について

綿花輸出国で綿花収穫の際に金属片、人毛、昆虫、他の繊維、小石、泥、オイルステン等が混入することがあります。これらについては、各メーカーが生産工程で取り除く努力をしております。
特に最近、苦情の多い点状のオイルステン(綿花輸出国で綿花収穫の際に混入する機械油をいう。)混入は、その状態にもよりますが(例えば製品中1~2個の混入)、精練・漂白工程を通っていますので不活性となり、その部分を取り除いての使用で良いと考えます。しみ等の多少の汚れについても同様、その部分を取り除いての使用で良いと考えます。

事例9 脱脂綿の吸水量が、LOTによって違う

吸収量は、綿花の品質の違い(産地や天候による)や、精練・漂白工程における管理不十分が要因となって差を生じます。脱脂不良が吸収量の低い製品を生みます。通常、脱脂不良品は製品検査で発見されるもので、市場に出ている製品は吸収量に多少の差が生じても使用に際して問題ありません。

事例10 EOG滅菌の残留ガスは問題ありませんか?

残留ガス濃度測定試験を行っておりますので問題ありません。
EOG滅菌の特徴には、品質の劣化がほとんどないという利点があります。品質管理をしっかり行えば適切な滅菌法といえるでしょう。

事例11 焼却時に発生するダイオキシンについて

脱脂綿・ガーゼ製品には、ダイオキシンの発生要因とされる塩素化合物は含まれておりません。ただし、使用後の製品には、血液・体液等が付着しますので塩素が含まれることになりますが、ダイオキシン発生には焼却する物ではなく焼却炉の性能が左右します。発生防止には、800℃以上の高温で処理すると良いと言われています。

事例12 ガーゼ・脱脂綿の有効期限は

ガーゼ・脱脂綿は、使用している材料の化学変化が小さいため、開封して日数が経過しても問題なく使用できます。ただし、湿気・直射日光にさらされますと変色することがあります。保存する際には開封前・開封後にかかわらず、ほこりや湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に保管してください。開封してから長期間経過したものを使うときには、ほこりや変色の有無を確認してください。なお、保管場所の近くに強い臭いのするものがあると、ガーゼ・脱脂綿に臭いが移ってしまうことがありますので注意してください。